抄録
1956年末から翌年にかけて, 静岡, 山梨両県下やその他の地区に水様下痢を特徴とする激烈な伝染病が豚に発生した. 1~7日の潜伏期(大部分は3日前後)で発病し感染率は殆ど100%, 死亡率は年令に比例して若豚ほど高く生後1週以内の哺乳豚は殆ど100%死亡するが成豚は死亡しない. 種々研究の結果1種のウイルスが原因であることを発見し, 免疫交叉試験の結果, 1946年米国でDOYLEらが発見した Transmissible Gastroenteritis in Pigsのウイルスと一致するか或は一致しなくとも極めて近似のものであることがわかつた. 従つて日本に発生したこの病気は Transmissible Gastroenteaitis in Pigs (豚の伝染性胃腸炎)であろうと略々推定された.