1973 年 35 巻 2 号 p. 149-155
著者らはさきにBordetellabronchisePtica(以下B菌)感染豚の血清学的診断についてトリプトソイブイヨン培養生菌を用いる方法(ブイヨン法)を報告した.この抗原は生菌であるため保存性がなく,試験の都度調製する必要があり,また野外試験において生菌を抗原とする点に問題があり,さらに凝集反応の判定に際しやや明瞭を欠くことなどの問題点があった.そこで死菌抗原の作成を目的として,B菌の抗K,OおよびH血清を用いて凝集反応用菌株,培養条件,抗原の処理,特異性ならびに安定性などにつき再検討した.ついで自然感染豚,実験感染豚,非感染豚およびHPCD豚血清を用いてブイヨン培養生菌抗原とホルマリン死菌抗原の被凝集能を比較した.その結果,相変異に安定な1相菌株を選定し,炭末加寒天培地あるいは5%馬血液加トリプトソイ寒天培地発育菌のホルマリン死菌抗原がすぐれたK被凝集能を示した.また凝集反応はホルマリン死菌抗原をMcFarlandNo.5の濃度に調整し,被検血清と56°C,2時間感作する方法が良好な成績を示した.