日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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サル類からのウレアプラズマの分離よおび血清学的性状
尾形 学小谷 均輿水 馨曲渕 輝夫
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1981 年 43 巻 4 号 p. 521-529

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抄録
1973年から1980年にわたり, 3科5属8種におよぶ306頭の外見上健康なサル類, すなわちリスザル9頭, ミドリザル9頭, カニクイザル164頭, アカゲザル10頭, ニホンザル53頭, オランウータン1頭, ゴリラ2頭, チンパージー58頭からウレアプラズマの分離をこころみた. ウレアプラズマは, リスザルの鼻腔, 口腔, ミドリザルの鼻腔, 口腔, 直腸, 包皮, カニクイザルの鼻腔, 口腔, 直腸, 包皮およびチンパンジーの鼻腔から分離されたが, 他のサル類からは分離されなかった. 発育阻止試験および代謝阻止試験により血清学的性状を検討したところ, 供試したサル類由来ウレアプラズマ菌株は抗原的に不均質であり, サル類の動物分類学上の科, すなわちマーモセット科, オマキザル科, オナガザル科およびオランウータン科にそれぞれ対応する4血清群に分けられた. サル類由来株はウシ, ヤギ, ヒツジ, イヌ, ネコ, トリ由来株とは血清学的類似性は認められなかった. しかし, オナガザル科に属する血清群とヒト由来のUreaplasma urealyticum間には共通抗原が存在することが判明した.
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