日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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食中毒事例から分離したセレウス菌の下痢原性および生物活性について
品川 邦汎松坂 尚典小沼 博隆倉田 浩
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1985 年 47 巻 4 号 p. 557-565

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抄録
下痢型食中毒4事例および嘔吐型食中毒21事例から分離したセレウス菌(59株)の培養遠心上清について, ウサギ皮内血管透過性亢進(VP), マウスおよびウサギ結紮腸管における液体貯留(MILおよびRIL)およびマウス致死(MLT)の各活性を調べた. 下痢型由来菌(下痢)株のほとんど(9株中7株)が澱粉分解陽性であるのに対し, 嘔吐型由来菌(嘔吐)株は全て陰性であった. 下痢株のVP活性(全て15mm以上のblueing zoneを形成)は, 嘔吐株(全て14.9mm以下)より明らかに強かった. MLT活性は, 下痢株のすべてがマウスを致死(0.1~0.2ml i.v.)させ, 嘔吐株でも80%が致死(0.2~0.4ml i.v.)を示した. MIL活性は, 下痢株では50%が陽性を示したが, 嘔吐株では100%陰性であった. また, 50倍濃縮した試料のRIL活性は, 下痢株で62%が, 嘔吐株では15%が陽性を示した.
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