抄録
下痢型食中毒4事例および嘔吐型食中毒21事例から分離したセレウス菌(59株)の培養遠心上清について, ウサギ皮内血管透過性亢進(VP), マウスおよびウサギ結紮腸管における液体貯留(MILおよびRIL)およびマウス致死(MLT)の各活性を調べた. 下痢型由来菌(下痢)株のほとんど(9株中7株)が澱粉分解陽性であるのに対し, 嘔吐型由来菌(嘔吐)株は全て陰性であった. 下痢株のVP活性(全て15mm以上のblueing zoneを形成)は, 嘔吐株(全て14.9mm以下)より明らかに強かった. MLT活性は, 下痢株のすべてがマウスを致死(0.1~0.2ml i.v.)させ, 嘔吐株でも80%が致死(0.2~0.4ml i.v.)を示した. MIL活性は, 下痢株では50%が陽性を示したが, 嘔吐株では100%陰性であった. また, 50倍濃縮した試料のRIL活性は, 下痢株で62%が, 嘔吐株では15%が陽性を示した.