日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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雄ビーグル犬におけるエストロジエン投与にともなう骨髄低形成について
三浦 昇佐々木 伸雄小川 博之竹内 啓
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1985 年 47 巻 5 号 p. 731-739

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抄録

6頭の雄のビーグル犬(1才)に安息香酸エストラジオール0.1mg/kgの連日投与, あるいは0.3mg/kgの3日ごと投与を30日間行い, 初回投与後48日間にわたり, 臨床症状の観察, 血液検査, 骨髄像検査, および血液凝固検査を実施した. 初回投与後15~18日に全例に重度の血小板減少をともなう出血傾向が認められ, 3頭がそれぞれ21, 33, 45日に胸腔内出血で死亡した. 白血球数は15~21日に上昇し, ついで減少傾向を示した. 赤血球数は初め減少したが, 21日以降は徐々に増加した. 血小板数は投与開始後一旦上昇したが, その後急激な低下を示し, 15日には3000/mm3以下となった. 生存例ではその後増加する傾向を示した. 骨髄像では投与後15~18日に顆粒球系細胞が赤芽球系細胞に比較して著しく増加したが, 24日以降は赤芽球系細胞が再び増加する傾向を示した. 血液生化学的検査および血液凝固検査には全く異常がみられなかった.

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