日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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黄体ホルモン放出膣内挿入器具(PRID)によるリピートブリーダーおよび無発情牛の発情調整と治療
福井 豊小林 正之椿 実菊地 宣幸小野 斉
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1985 年 47 巻 6 号 p. 943-950

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抄録

ホルスタイン種未経産牛40頭(リピートブリーダー:32頭, 無発情:8頭)を4群(各群10頭)にわけ, PRID, プロスタグランジンF類縁物質(PGFアナログ:エストラメイト, 500μg), または性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁物質(GnRHアナログ:コンセラール, 200μg)を用いて発情調整および受胎性を検討した. PRIDは7日間または12日間挿入し, 除去1日前にPGFアナログを1回筋肉内注射した. PRID12日間挿入群では, 10mgエストラジオール・ベンゾエート(E.B.)が含まれるカプセルを除去した. PRID(-E.B.)12日間挿入+PGFアナログで処置された10頭とも処置後2日目に発情を示し, 凍結精液による3回定時人工授精により6頭が受胎した. PGFアナログ2回注射(11日間隔)群では10頭中3頭のみが受胎した. また, GnRHアナログ+PGFアナログ注射(9日間隔)群では10頭中5頭が受胎した. 処置後24日までの受胎は, PRID(-B.D.)12日間十PGFアナログ群では10頭中9頭, GnRHアナログ+PGFアナログ群では7頭中6頭であった. 以上の結果から, PRID(-E.B.)を12日間挿入し, 除去1日前にPGFアナログを注射する方法は, PGFアナログ2回注射より効果的であり, また, E.B.カプセルは不要と考えられた.

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