日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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イヌパルボウイルス接種SPFネコおよび普通ネコにおける臨床,血液,病理学的所見
内田 英二一条 茂後藤 仁中島 清香納 敏
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1988 年 50 巻 3 号 p. 597-604

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抄録

SPFネコと普通ネコについてイヌパルボウイルス(CPV)を接種し, 臨床, 血液, 骨髄および病理学的所見について検討した. SPFネコは接種後特に異常を認めなかったが, 普通ネコでは元気食欲減退, 下痢, 嘔吐および一過性の発熱を認め, 接種後4日に1例が死亡した. SPFネコでは白血球数が軽度に減少したのみであったが, 普通ネコでは白血球数が激減し, 好中球, リンパ球の有意な減少がみられた. 骨髄像においては顆粒球,赤芽球が減少し, 普通ネコでは有核細胞数が激減していた. 病理学的には, 肉眼所見で小腸粘膜面の出血性変化, 胸腺の萎縮, 腸間膜リンパ節の腫大, 組織所見で小腸絨毛の萎縮, 胸腺, 腸間膜リンパ節におけるリンパ球減少, 骨髄有核細胞の減少, さらに小腸, リンパ系組織および骨髄で核内封入体などを認めた. HI抗体価は, 接種後3~5日から急速に上昇し, 7日には最高値となった. CPVは, 接種後5日の腸管, 腸間膜リンパ節, 骨髄などから分離された.

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