抄録
フタトゲチマダニの若ダニの中腸内における Babesia ovataの発育について観察した. 飽血12時間以内のダニ・中腸内容物中には B. ovataのメロゾイドが観察され. その後直径2~3μmの比較的大きな輪状形のいわゆるring-formに変形した. 飽血48~72時間以内では, ring-form (4~5μm)は好塩基性を呈するspherical-formに発育した. 飽血3~4日後の間には, 2核を有するfission-formがfission-bodyに変形した. 飽血4~6日後の間には, bizarre-form (6~7μm) と長さ6~8μmでelongated-formのミクロガメイトと考えられる像も観察された. 飽血後6~8日後の間には, 腸内に円形(直径8~10μm)のチゴートを検出した. さらにチゴートは10日頃以降長径13~15μmのvermicule-formに変化し, これらの虫体は消化管から消失した.