1990 年 52 巻 1 号 p. 105-111
植物精油成分オイゲノール(4-allyl-2-methoxyphenol)をラットに経口投与すると, 肝ミクロゾーム薬物抱合酵素UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(GT)活性が増加する. オイゲノールによるこのGT活性誘導機序について検討した. (1)オイゲノールを投与したラット肝ミクロゾームでは, GTのVmaxはおよそ2.6倍に増加したが, 基質(UDP-グルクロン酸)に対するKmは変らなかった. (2)イムノブロッテイング法により測定した結果, オイゲノール投与ラット肝ミクロゾームではGT酵素蛋白量が増加していることがわかった. (3)肝からRNAを調製し, In Vitro Translationを行った結果, オイゲノール投与ラット肝ではGTをコードするメッセンジャーRNAが量的に増加していることがわかった. 以上の結果より, オイゲノール投与による肝ミクロゾームGT活性の増強はGTをコードするメッセンジャーRNAの増加によるGT分子の生合成量の増加(誘導形成)に基づくと結論した.