真空技術
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油拡散ポンプの油蒸気の逆流に関する実験的研究
小林 重雄大武 春吉
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1954 年 5 巻 4 号 p. 259-270

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抄録

本報告は油拡散ポンプの油の逆流に関する報告である。而して, 逆流発生の源を分析して次の四つの場合とした。即ち (1) ジコツト系に存在する油膜によるもの。 (2) ポンプの上部のシリンダに凝結した冷い油の蒸発によるもの, (3) ジコツトからの蒸気流のscatteringによるもの, と最後に (4) 蒸気流の反射によるものとした。
油の逆流量を測定するためには筆者等は金属性のプロブをポンプの上部に半径方向に配置しプロブの表面に凝結する油の量を秤量することによって逆流量を決定した。
実験的にジェツト系の油膜による逆流が全逆流の大部分であり, 残りの冷い油の蒸発, 蒸気流のscattering及び蒸気流の反射による逆流量は一部にしか過ぎない。二三のバツフルを用いて, 冷い面の油からの蒸発量を制定することは出来るが, scatteringと反射によるものとは分離することは出来ないけれども, これら両者による逆流量は冷い面からの油の蒸発量の3倍にしかすぎない。

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