真空
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超高真空マイクロバランスの試作
長阪 道雄山科 俊郎
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1970 年 13 巻 7 号 p. 236-238

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抄録

固体表面の低気圧体の吸着や反応あるいは真空材料のガス放出の研究にとつて, 超高真空に排気可能かっ高感度のマイクロバランスはきわめて利用度が高い種々の目的に応じて, 多くの型のマイクロバランスが発表され, またその製作方法についても解説は多いしかし超高真空に排気でき, かつ微量気体 (たとえば10-6Torr) の導入を目的としたものは意外に少ない.筆者らは超高真空用材料の表面現象の研究に利用でき, 次の諸条件を当面の目的としたマイクロバランスを試作したのでその概要と性能について述べたい
当面の諸条件は, (1) 10-7gの重量変化を検知可能で最大荷重は0.5gていどとする. (2) 10-9~10-10Torrまで排気可能で, 大気圧より10-6Torrの気体を導入し, 長時間一定圧に保つことができる (3) 市販の手近かにある部品を用いて比較的安価に製作できる, 等々てあるこれらの目的のためにはGulbransen型トーション式のものが最適て, 自動記録はできないが, (1) の条件は容易に実現でき, (2) についてはステンレス製容器とイオンポンプの利用により解決できる自動記録式のものとしては, すぐれた性能をもつもの (たとえはCahn社製のもの) があるが, 構造が複雑てベークアウトが不可能なため依然として超高真空をうるのが困難である.また石英の細線を支点としたすぐれた性能のマイクロバランスが報告されているが荷重の点で上の条件を満たすことはむずかしい

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