山階鳥類研究所研究報告
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ハツカネズミ(Mus musculus)における人為過剰妊娠に関する二三の観察(予報)
佐藤 晶子
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1959 年 1 巻 13 号 p. 531-534

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抄録
性的に未成熟な,あるいは成熟したハツカネズミ(Mus musculus)の雌に,血清性性腺刺激ホルモン「セロトロピン」を5国際単位,絨毛性性腺刺激ホルモン「プリモゴニール」を10国際単位,40時間の間隔を置いて筋肉内に注射した。それにより成熟ハツカネズミの少数例において生産仔数の増加を認めた。産仔数は最高15頭,最少11頭,平均12.6頭であった。対照区の産仔数は最高12頭,最少2頭,平均6.5頭であるから,実験区においては平均して約2倍の増加である。出産仔は生後2日の間に死亡する個体があり,成長仔数は最高9頭,最少7頭,平均8.4頭である。未成熟個体では出産に至ったのは1例のみで産仔数は7頭であった。成熟した雌ハツカネズミを用いて,その年令,出産経験の有無,ホルモン投与量ならびに出産前後における母体の栄養について研究し,実験を行なうことにより,一時に大量の出産を得ることも不可能なことではないと考えられる。
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