1955 年 1 巻 7 号 p. 303-305
アブラコウモリの幼獣は成獣が多く発見されているに拘らず非常に少い。即ち今泉氏の「日本哺乳動物図説」に依れば3仔の場合は羽田1例,赤羽1例,名古屋2例,支那1例,2仔は鹿児島,1仔の例は奄美大島等である。随つて4仔は未だ知られていないように思われる。ここに述べた4仔の例は甲府市高畑町に母親に抱かれたまゝ墜落したもので之を1週間飼育したのである。
本種は山梨に於ては4月に最も多く出現し10月が之に次いでいる。従来日中に於ける発見は何時でも1匹のみの飛翔である。又この種の冬眠は家の中であるが,コウモリ穴の岩穴の1例もある事を附加し又ダバオに於て本種観察中多数のホタルを食したが,それらの発光部のみを残した事も食性上興味あることとして附け加えて置く。