1.繁殖期の鳥類群集構造の年次変動の実態を明らかにするため,3つの試験地の計7つの異なる林相プロットで,4~12ヵ年のなわばり記図法調査を行なった。
2.なわばり数で表わした各鳥種の繁殖密度は,若い林では増加ないし減少傾向を示すものが多く,全種合計では年とともに増加した。壮令人工林や天然林では,増加ないし減少傾向を示すものは相対的に少なく,最大で平均値の2倍位までの変動幅に収まる一見不規則な年次変動をするものが多かった。全種合計の密度は,変動係数10%前後以内に収まり年々安定していた。
3.比較的若い林における下刈り,除伐などの育林諸作業は,生息鳥類に大小さまざまの影響を与えた。
4.その影響の大きい場合を除いて,若令林,壮令林の鳥類群集は,10年前後の期間は全体としてあまり変化せず,同一の群集と見なし得ることが明らかになった。極相林では,より長期間同一の鳥類群集にとどまることが推測された。