山階鳥類研究所研究報告
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大黒島におけるコシジロウミツバメ(Oceanodroma leucorhoa)の繁殖生態
綿貫 豊
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1985 年 17 巻 1 号 p. 9-22

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抄録

1) コシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの繁殖生態を,北海道厚岸町大黒島(42°52'N,144°52'E)で,1982年4月下旬から10月上旬まで調査した。
2) 抱卵日数は41.8日,抱卵交代日数は2.9日,雛の体重増加係数(K)は0.078,雛の最大体重69gで61.2日で巣立した。成鳥体重48.5g,卵重11.2gであった。
3) 平均巣立率は92%で,営巣地植生,巣穴の深さ,最近接巣間距離によって変化しなかった。
4) 平均孵化率は75%で,深い巣穴の方が浅い巣穴よりも,早く産卵された方が遅く産卵されたよりも,孵化率が高かった。
5) 複雑な根系をもつノガリヤス区の巣穴は深く,孵化率が高かった。
6) どの産卵時期においても,孵化率はノガリヤス区>ヨモギ区>フキ区の順であったが営巣密度はヨモギ区(1.69/m2)>ノガリヤス区(0.80/m2)>フキ区(0.60/m2)の順であった。
7) 孵化率が高いノガリヤス区では平均的に産卵日が早い傾向があり,部分的に"密度制限モデル"(Davies,1978)が支持された。

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