山階鳥類研究所研究報告
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セキセイインコとウズラにおける脱水時の摂食ならびに体内水分バランスについての比較研究
糟谷 洋子唐木田 丈夫大河原 雄児小林 英司
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1987 年 19 巻 2 号 p. 89-102

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抄録

セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)とウズラ(Coturnix coturnix japonica)を用い,10-11日間水を与えなかった場合(脱水)の体重,摂食量,体内の水分バランスの変化について比較検討した.
1) 体重の平均値,及び毎日の体重と実験開始時の体重との割合の平均値は,脱水期間中どちらの種でも対照群より実験群の方が小さかった。体重の減少率は脱水期間を通してセキセイインコの方がウズラより小さかった。
2) セキセイインコでは,平均摂食量及び体重あたりの平均摂食量は,実験群が対照群に比較して常に多かった。ウズラでは,これらの値は実験群の方が対照群より少なかった。体重あたりの摂食量は,ウズラよりセキセイインコの方が有意に多かった。
3) セキセイインコでは11日間の脱水により血漿浸透圧に何ら差はなかったが,ウズラでは実験群の血漿浸透圧が顕著に有意な増加を示した。
4) 血漿量の平均値は,10日間の脱水によりセキセイインコでは減少したが,ウズラでは変化しなかった。しかし,体重あたりの平均血漿量は,セキセイインコでは有意に減少したが,ウズラでは体重の減少が大きかったため,血漿量は逆に増加した。
5) 脱水10日後の血液量は,両種とも有意に減少した。体重あたりの平均血液量は,セキセイインコでは減少したが,ウズラでは体重の減少が大きかったため,かえってその値は増加した。
6) 以上の結果より,セキセイインコでは脱水時における飲水は主として容量受容体を介して誘起され,ウズラでは,主として浸透圧受容体また一部容量受容体を介して誘起されると考えられる。

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