山階鳥類研究所研究報告
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人工衛星を利用したコハクチョウの渡り追跡
樋口 広芳佐藤 文男松井 繁相馬 正樹冠 昇
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1991 年 23 巻 1 号 p. 6-12

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抄録

1.1990年4月10日,北海道クッチャロ湖で4羽のコハクチョウに送信機をつけ,人工衛星を使って渡りの経路を追跡した。送信機は背中(3個体)あるいは首(1個体)に装着した。送信機の大きさは112mm×35mm×19mm,重量は83グラムだった。
2.位置測定のデータは4月10日から5月26日までにわたって得られ,合計116の位置が測定された。
3.4羽のコハクチョウはどれもサハリンに沿って北上し,アムール川の河口やサハリン北部で数日間から1か月ほど滞在した。4羽のうち3羽では,その付近や大陸東縁のマガタン付近で電池の寿命がつきたが,残りの1羽は北極圏の繁殖地(69.6°N,160.8°E)まで追跡できた。
4.電池の寿命は約2か月と予想されていたが,実際には30日から46日だった。予想よりも短命であったのは,寒冷気候のもとに長時間さらされたためと考えられる。

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