山階鳥類研究所研究報告
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南大東島に生息するモズの羽色および形態の記載,島内の分布状況と繁殖生態
高木 昌興
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2000 年 32 巻 1 号 p. 13-23

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抄録

大洋島である大東諸島南大東島で繁殖するモズLanius bucephalusは1973~74年頃に増加し始めた隔離個体群である。このモズ個体群の羽色および翼式,外部形態計測値を記載し,島内の分布状況,個体群性比,繁殖生態について調べる目的で,1998年1~2月,4~5月に調査を実施した。過去の調査でモズとアカモズL.cristatusの1亜種lucionensisとの交雑の可能性が指摘されていたので,現在生息しているモズのいくつかの形質をアカモズと比較した。羽色および形態から,現在南大東島に生息しているモズは,モズだけの特徴を持っていると判断された。モズは島内の代表的な環境すべてに生息し,1kmあたりの個体数は雄で2.1個体,雌では1.6個体であった。南大東島では1月下旬から産卵を開始し,4月上旬まで産卵が行われることが明らかになったが,それ以降産卵が行われるかどうかは不明である。モズは6種の樹木に営巣したが,畑と畑の間の防風樹として植栽されている常緑照葉樹のテリハボクが営巣場所として最も多く,全体の65%(13/20)を占めた。全樹種をまとめた巣の平均地上高は252cmであった。

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