山階鳥類研究所研究報告
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宮城県伊豆沼,内沼の鳥類特に冬期の水鳥について
竹丸 勝朗小笠原 〓
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1967 年 5 巻 1 号 p. 85-91

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抄録

宮城県,伊豆沼,内沼における鳥類の調査を1967年1月から3月及び1965年11月から1966年3月までの2冬期間に,特に水鳥を中心に行なった。
両沼周辺で観察された鳥類は25科69種1亜種で,そのうち,留鳥28種,冬鳥35種1亜種,漂鳥3種,旅鳥3種となっている。そのうち,38種が水鳥及び水辺の鳥である。
このうち,マガン(Anser albifrons)は特に多く,1,500羽以上,オオハクチョウ(Cygnus cygnus)は,1966年2月17日に460羽内外で,近年の最高値を示した。ハクチョウ(Cygnus columbianus)は1966年,1月1日に109羽を数え,その後2月初旬には50羽内外に減じていた。
また比較的数の多い種としては,ヒシクイ(Anser fabalis)が50羽内外,カワアイサ(Mergus merganser)が1965年1月17日に200羽円外,ミコアイサ(Mergus albellus)が20羽内外それぞれ認められた。
その他珍らしい種として,ハクガン(Anser caerulescens)が1965年2月24日から3月17日までに1羽,シジュウカラガン(Branta canadensis)が1965年2月25日に1羽,カリガネ(Anser erythropus)が1966年2月18日に1羽,それぞれ観察され,ハイイロチュウヒ(Circus cyaneus)は1965年2月24日と1966年3月22日に各1羽,オジロワシ(Haliaeetus albicilla)は時々みられ,オオマガン(Anser albifrons gambelli)は伊豆沼で1966年2月18日にはじめて記録された。この種は,1925年千葉県手賀沼及び仙台市福田町で,1964年12月につぐ3度目の記録である。
さらに伊豆沼,内沼における生態的知見として,主な水鳥の冬期における滞在期間及び分布,移動行動についての概要について記載した。

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