2023 年 39 巻 p. 95-102
本研究では残留変形が生じた鋼短柱の残存性能を,3次元画像解析により取得した残留変形形状をもとに推定するための手法について検討する.まず3次元画像計測によって生成される点群データの精度を確認し,除荷のタイミングを異ならせて圧縮力を載荷した鋼短柱の残留変形を計測する.つぎに,残留変形を計測した点群データをもとにFEMモデルを構築し,荷重経路の異なるFEM解析を行い,解析による実験の再現性を確認する.その結果,面外変形のみに着目したパターンでは残存性能推定精度はあまり高くなかったが,面外変形が最も大きくなる面内位置に着目するとしたケースでは高い精度が得られた.これより面外変位量よりも面外変形モードが残存耐力推定に大きな影響を与えることがわかった.