抄録
高校での化学の授業において化学構造式は生徒にとっては化学に興味をいだく原因になることもあるが, その逆の原因になる場合もある。いたずらに構造式を暗記させることは, 後者の原因になると思われる。現在化学の第一線においては赤外吸収スペクトル, 核磁気共鳴などを使って, あだかも分子を直接見ているような錯覚をうけるほど分子構造が精密に研究されているが, 高校化学では分子構造をどのように取扱かったらよいであろうか。私は高校有機化学においては溶解度・沸点・融点・燃焼性などから, その有機化合物の構造式の特徴を理解していくのも一つの方法であると思っている。以下その私案について報告する。