化学教育
Online ISSN : 2432-6542
高校課外活動のための二, 三の天然物有機化学実験(<特集>天然有機化合物)
平田 義正
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1964 年 12 巻 1 号 p. 39-46

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抄録
普通天然物有機化学の実験は, 課外活動としても高校生には少し難しすぎると思う。しかし構造が複雑な反面, 色の美しいもの, 結晶しやすいもの, 反応のおもしろいものなどがあるので, それを巧く利用して有機化学に対する興味, 生命力の神秘を化学的に追跡する興味などに対して刺激になるように指導されれば, 十分意味がある。天然物有機化学は昔と異なり, 色が美しいなどという単純な意味で研究されるよりは, 生理的に活性なものとか有機化学的な意味を十分考えて行なわれることが多いことも説明してやる必要がある。すなわち興味を引立てるためには必要なことであるが, 高校生が現在行なっている態度は昔の学問の立場であることを理解させる。一般に動物成分は腐敗しやすく脂肪なども多いので抽出も難しいので, ここには植物を主とする。動物成分としては市販品で容易に入手できるコレステリンを材料にして二, 三の反応を行なってみる。植物でやはり一番目立つのは色と香である。植物の香は液体のものが多く抽出材料として良い原料も少ないので, 植物色素の抽出および二, 三の反応をあげる。
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© 1964 公益社団法人日本化学会
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