化学教育
Online ISSN : 2432-6542
創造性を育てるためのミステリーパウダーテスト(創造性と実践)(<特集>創造性の芽を育てるために)
宮本 拓哉
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1976 年 24 巻 6 号 p. 474-477

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抄録

理科を学ぶことによって創造性を高めるには, まず学習が楽しいものでなければならない。おもしろくなければ思考も高まらないと考えるからである。ところで, ミステリーパウダーを用いたパーフォーマンスは未知物質への探究という点で確かに好奇心を刺激するものである。しかし, 多様な操作が必要であり, そのひとつひとつが探究手段の鍵であるため, その鍵が前の学習で定着していなかったら発見の喜びを得ることができず, おもしろくない学習になる。このことは中1の結果から明らかになった。楽しい学習を行なうには, 生徒を野放し状態におけばよいとの意見もあるが, これはかえってマイナスの効果しかなく, 適切な指導に支えられ, はじめて楽しい学習が行なわれ創造性を高めることができる。はいまわる探究学習となり, 行きつく先の見えない発見学習となってはいけない。必ずゴールに到達できる探究素材が用意されなければならない。それに加えて, 生徒の発達段階が考慮され, 未知への好奇心が無限に拡大していくような素材が用意されれば, すばらしい理科教育ができるのではないか。われわれはこういった素材の開発をめざし, 今後も努力していきたい。最後に, この研究を行なうにあたり金沢大学教育学部教授山崎豊先生のご指導, ご援助をいろいろと受けたことを付記し謝意を表する。

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© 1976 公益社団法人日本化学会
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