新商品開発は企業経営の根幹にかかわり、経営戦略上、最重要課題の一つである。本稿は、小型ロボットの業績が低迷するある工作機メーカーが取り組んだ経営革新に、TOC (制約理論) の一手法である思考プロセスのアプローチを援用し、新商品開発を成功に導いた経緯を示すとともに、同アプローチの有効性を検証するものである。
業績低迷を打破するために、「何を」「何に」「どうやって」革新していくかという経営課題に対して、CRT (現状問題構造ツリー) 、CRD (対立解消図) 、FRT (未来問題構造ツリー) など一連の思考プロセスのツールを有効に駆使し、解析することができた。その結果、真の根本原因はトップ方針の不徹底であり、その打開策に、新商品開発を基軸とする開発戦略の策定をクロス・ファンクショナル・チームにて進め、トップのリードの下に競争力あるミニロボットを開発することができた。