抄録
本稿では,Hatfield [1924]で示されている簿記係のイメージを手がかりにして,伝統的な会計ステレオタイプについて考察する。Hatfield [1924]は,会計がいかに文学で軽んじられてきたかを指摘し,会計の歴史研究の必要性を指摘するものであった。その後,会計の専門職化が進むとともに,現代では,事業活動に関連した新しい会計ステレオタイプ(ビジネス・プロフェッショナル・ステレオタイプ)も現れている。しかしながら,現代でも事務員や簿記係に関連する伝統的な会計ステレオタイプが一般大衆から想起されるという研究もある。本稿では,Hatfield [1924]を手がかりとして伝統的な会計ステレオタイプに関わる諸問題を明らかにしたい。