化学機械
Print ISSN : 0368-4784
充填塔の精溜能力-〔H.T.U.〕
内田 俊一葛岡 常雄伊藤 方策草野 和人中島 康三
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1947 年 11 巻 2 号 p. 53-63

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抄録

本実驗は昭和20年(1945),東京工業大学化学工学科実驗工場で行われた.充填塔を用いて,所與の精溜操作を行うためには,どれだけの高さの充填層を要するかという充填塔設計の基礎的資料をうることを目的とし,水・メタノールの2成分混合液を用い,26×26mmラッシヒ・リングを充填した塔径260mmの充填塔によつて,充分な用意の下に全還流実驗を行つた.
充填層高753mmの場合71囘,1,604mmの場合24囘,合計95囘の測定の結果から,総括的な関係を求めることができた.すなわち,塔の精溜能力を,Chilton等の〔H.T.U.〕OLをもつてあらわし,これに上昇蒸氣量・塔径・充填層高・充填物寸法による補正をほどこした値と,mGM/LMすなわち〔H.T.U〕OG:〔H.T.U.〕OLの比との間には廣い濃度範圍にわたつて,一本の曲線であらはされる関係が成立し,この関係は他<の系による精溜実驗にも,また充填塔による吸收操作の場合にも大体適用されることがあきらかとなつた.この結果は,昭和20年の藤田重文氏の論文「充填塔の高さの設計」に記されているところと同一傾向にあり,今後充填塔の高さを求める場合は,上述の関係から求めた値を用いれば大なる誤りがないことがわかつた.なお本実驗により得られた関係のうち,mGM/LMの2.0以上の範圍は,実驗誤差の影響が著しく大きくて,かなり不正確なものであるが,液濃度の決定に比重法を採用している限り,これ以上の精密さを期待することができない.

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