化学機械
Print ISSN : 0368-4784
管内流に於ける各種エネルギーの変遷及び流体摩擦と物質移動とのアナロジーについて
大石 純
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1950 年 14 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

管内流に於ける流体摩擦と物質移動とのアナロジーについては,これまで,若干の研究が行われ種々の關係式が得られている.しかしこれらは,E.R. Gilliland等の實驗式に一致していない.最も良好な關係を示していると見做されるT.K. Sherwoodの式でさえも,シュミット數μ/ρDの値が3の時約10%の誤差があり,3以上になると誤差はますます大きくなつて來る.筆者はこれらの諸關係式が不滿足であるので再檢討し,新に管内流の各流動領域に於いて散逸するエネルギーと移動物質量との間にある假定を導入した結果,次の式を得た.但し管は円管とする.ここに,fは流体摩擦係數,umは管内流の平均速度,Kは濃度基準の物質移動係數,iは管内流の散逸エネルギーの計算に表われる係數,Sはシユミツト數即ちμ/ρDである.本式は從來のいかなる式よりも實驗結果に良く一致し,殊にレイノルヅ數の大きい場合は,シユミツト數が10附近まで良い結果を與える.この報文に於いて,筆者は管内流の種々のエネルギーの變遷状態を明らかにし,次いで流体摩擦と物質移動との新しいアナロジーを示した.

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