化学工学
Print ISSN : 0375-9253
ガス側物質移動係数の物性に対する依存性について
恩田 格三郎佐田 栄三城戸 近川竹 了
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1966 年 30 巻 3 号 p. 226-229,a1

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抄録

1963年に“物性定数1集”が発行されてもう3年目となる。そもそも化学工学の研究者や化学工業の技術者にとって, 物性定数とは不可分の関係にあり, 化学工学実験を整理して式を導く場合やまたは既存の式により設計計算をする場合に必要欠くべからざる要素である。しかるにこの物性定数の測定及び整理については, 一般の化学工学実験を行なうセンスでは到底精度が得られず, 精密分析や精密工業のような非常に緻密なセンスが必要で, 従来は化学工学屋にとって苦手な所であった。しかし化学工業の発展に伴い, 我々の取扱わねばならぬ物質も増加し, 又化学工業の技術の進歩により, その温度, 圧力, 混合状態等の範囲は拡大の一歩をたどっている。一方化学工学の進化に伴い, 新しい物性定数の要求がある。例えば気泡塔の気泡の生因に関与する物性として, 従来の粘度や表面張力のみでは説明出来ず, 或はスラリー中の固体粒子の凝集力を説明する物性は未だ不明である。このように物性定数について我々は大いに関心を持つ必要があり, 化学工学協会で化学工業上必要な物性定数を年々集積して行く事が計画され, その努力の賜ものがこの“物性定数”の発行となっているが, 今年は3集目に当り, いよいよ軌道に乗った感じがする。内外の文献50余誌を網羅し, レビューとしてまとめているのは従来の通りであるが, 今回の配列にはソ連の文献は一括とせずに, 各物性毎に分割して配置したので読者には使い易くなっている。ノモグラフも大きくて使い易い。諸物価値上りムードの今日此の頃, 2集より27頁 (7.5%) 増頁に関らず定価が据置となっているのが有難い。すべからく化学工学便覧と同様, 常に座右に備え, 物性定数を探す場合の索引として, 或は物性定数測定の参考として大いに利用したいものである。

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