2024 年 14 巻 1 号 p. 1-10
膠芽腫術後患者に対して,重要な作業への復帰を促進するためにAid for Decision-making in Occupation Choice(ADOC)と作業機能障害の種類と評価を用いたOccupation Based Practice(OBP)を行い,退院後の健康関連QOLへの影響を検討した.ADOCでは,ADLよりも仕事や余暇に関する作業が多く抽出された.健康関連QOLや作業機能障害は退院後に改善傾向であったが,高次脳機能障害などにより重要な作業に復帰できなかった患者ではQOLは低下したため,今回対象とした膠芽腫患者への術後早期からの健康関連QOLや作業機能障害の継時的変化に対する有意性は証明できなかった.過去行われて来なかった膠芽腫患者に対するOBPは,ADOCを用いることで重要な作業に対して入院中から集中的に介入することを可能としたことから将来性が期待できる.