火山
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RADARSAT 画像による三宅島2000年陥没カルデラの地形解析
金子 隆之須藤 昇Martin J. WOOSTER下司 信夫嶋野 岳人長井 雅史中田 節也
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2001 年 46 巻 4 号 p. 205-209

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抄録

噴火中の火山で, どのような地形変化が起きているかを知ることは, 活動状況を把握するうえで, 最も重要な点の一つである. しかし, 我が国のような湿潤な気候帯では, しばしば, 山頂部が雲に覆われ観測できない事態が起きる. このような場合, 合成開ロレーダー(SAR)は, 昼夜, 天候, 噴煙等に左右されないため, 火山の地形変化の監視に有効であると考えられる. しかし, SAR 画像は, 独自の歪みをもっため,地形図との対応関係を知るのが容易でないなどの問題がある.本論は,RADARSATSAR 画像をGround Control Points (GCP) を用いたマッチングにより地形図上に重ね合わせ, 2000年7月に噴火を開始した三宅島陥没カルデラ縁の拡大状況の推定を行った. この際フォアショートニングによる歪みを抑えるため, カルデラ縁に近い場所にGCPを設定した. 得られた結果を空中写真等からの推定と比較すると,両者のずれは大きい部分でも1OOm程度であり, 比較的良く一致していることがわかった. このことから, RADARSATSAR 画像は, 緊急時にカルデラ縁の位置を推定するといった用途には十分利用できると考えられる.

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© 2001 特定非営利活動法人日本火山学会
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