大阪経大論集
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「金融化」時代におけるイギリス住宅金融の変化
斉藤 美彦
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2021 年 72 巻 2 号 p. 19-42

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抄録

1970年代後半以降,資本主義は,それ以前の国家独占資本主義(福祉国家)と呼ばれる段階から,「金融化」と呼ばれる段階へと変化した。その段階の特徴の一つとしては,個人(家計)が住宅ローン等の資金調達活動を活発化させるということがある。イギリスにおいて第一次世界大戦後以降における住宅金融の進展を支えたのが,貯蓄金融機関としての住宅金融組合であった。「金融化」時代の住宅金融は大きく変化し,住宅金融組合のほとんどは相互組織から株式会社(銀行)へと転換した。そしてその結果として,その多くが破綻することとなった。本稿は,国家独占資本主義(福祉国家)期において,それなりのロバスト性を有していた住宅金融を支えていた金融機関である住宅金融組合が,どのような過程により破綻し,それが何をもたらしたか等について検討することとしたい。

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