結核
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原著
新たな治療成績指標の検討
伊藤 邦彦
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2014 年 89 巻 9 号 p. 731-736

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抄録

〔目的〕今後の結核サーベイランスで採用を検討すべき新たな治療成績指標値の検討を行う。〔対象と方法〕初回喀痰塗抹陽性肺結核を対象として,①登録翌年末治療完了率,②およびリファンピシン耐性例や髄膜炎等特殊な肺外結核合併例を除いた例での治療開始1年以内治療完了率を検討する。①では2009年新登録患者のサーベイランスデータおよび結核高度専門病院である複十字病院例について,②では上記の他さらにA保健所のデータを用いて検討する。〔結果〕①2009年新登録患者の登録翌年末時点での全国の推定治療完了率は88.7%であった。66自治体では最大値100%,最小値58.3%で標準偏差は6.7%,複十字病院では93.1%であった。②治療開始1年以内の全国の推定治療完了率は76.4%であった。66自治体では最大値90.9%,最小値44.1%で標準偏差は8.8%,複十字病院で91.1%,A保健所で80.0%であった。〔考察と結論〕治療成績指標の候補として,登録翌年末治療完了率よりも治療開始1年以内治療完了率のほうが,より適しているものと推定された。

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© 2014 日本結核病学会
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