結核
Online ISSN : 1884-2410
Print ISSN : 0022-9776
ISSN-L : 0022-9776
健康診断で発見された肺結核症例の臨床的検討
小橋 吉博宮下 修行二木 芳人松島 敏春沖本 二郎原 義人
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 78 巻 5 号 p. 383-387

詳細
抄録

今回私どもは, 過去10年間に当関連施設において肺結核と診断された521例の中から健康診断で発見され, 肺結核と確診がえられた43例 (8.3%) に関して臨床的検討を行った。平均年齢は54.8歳, 男性22例に対し, 女性21例で, 職業は無職が15例と最も多かった。全例, 全身状態は良好であったものの基礎疾患は18例 (41.9%) にみられ, 消化器疾患, 糖尿病の順に多くみられていた。発見動機は, 大半の症例が市町松もしくは事業主が行う定期健康診断で偶然に発見されていたが, 7例は定期外健康診断において接触者検診で発見されていた。診断は18例で喀痰で結核菌が検出されなかったため, 気管支鏡検査を行い, その検体から同定していた。画像的には分布は片側性, 病型分類はIII型, 拡がりは1が最も多くみられた。治療は, PZAを含む4剤併用療法が半数以上の症例に行われ, 予後は結核死が1例もなく良好で, 治療効果もみられていた。一般的には, 結核菌が検出されなくても臨床的に肺結核が疑われた症例には抗結核薬の投与がなされているが, 喀痰で結核菌が検出されなくとも気管支鏡を用いた診断法が有用であることから, 積極的に早期診断, 早期治療をめざしていくことが重要と考えられた。

著者関連情報
© 日本結核病学会
次の記事
feedback
Top