結核
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バクテックMGIT960による薬剤感受性検査における接種菌量の検討と検査の再現性
富田 元久竹野 華鈴木 克洋坂谷 光則木下 幸保小林 郁夫
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2004 年 79 巻 11 号 p. 625-630

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抄録

[目的] 結核菌の迅速薬剤感受性検査であるミジットシリーズでは分離用MGITが陽性になってから, 1~2日後はそのまま, 3~5日後は5倍希釈液を接種菌液とすることになっており, 菌量が安定せず, 薬剤感受性検査の結果が変動する危険性が考えられた。今回われわれは, 分離用MGIT陽性チューブから調製した接種菌液を用いて, 主要5薬剤 (INH, RFP, SM, EB, PZA) の感受性結果を比較した。 [対象・方法] 当院で結核の治療中に依頼された19例の検体を用いた。分離用MGITが陽性を示した後1日目, 3日目, 5日目の菌液での再現性とミジットシリーズと従来法との比較を行った。 [結果・考察] 分離用MGITが陽性を示した後1日目, 3日目, 5日目のチューブから調製した接種菌液の平均菌量 (CFU/ml) はそれぞれ3.6×106, 1.6×106, 3.1×106であった。3接種菌でミジットシリーズの結果は完全に一致した。さらに主要5薬剤についてミジットシリーズと従来法の全体の一致率は90%以上であった。これらの結果は, バクテックMGIT960システムは薬剤耐性結核の迅速診断に有用であることを示している。

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© 日本結核病学会
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