結核
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集団感染事例における新しい結核感染診断法QuantiFERON®TB-2Gの有効性の検討
原田 登之森 亨宍戸 眞司樋口 一恵関谷 幸江
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2004 年 79 巻 11 号 p. 637-643

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抄録

[目的] 結核接触者健診における結核感染診断の目的のために, 結核菌特異抗原 (ESAT-6およびcFP-10) を用いた全血インターフェロンγ応答を定量する方法 (QuantiFERoN®TB-2G) がどのように有効であるかを検討するために本研究を行った。 [対象と方法] ある若年者集団 (専門学校生) における結核患者の発生に際して, ツ反とともに本法を適用し, その知見をツ反と比較分析した。 [結果] 初発患者との接触が濃厚な群とそれ以外の接触者とでは本法の陽性率に大きな差が見られたが, ツ反では違いはわずかで, 本法がBCG接種の影響を受けずに結核感染診断が正確に行えることを示唆していた。 [結論] ツベルクリン反応検査との比較から, この方法は従来のツベルクリン反応検査とその便宜的な診断基準による方法で回避できない不必要に過剰な化学予防の指示を大幅に節減し, また適用方法を工夫することによって必要な対象者を最大限補足することが可能になると考えられる。いっそう信頼性のある方法として広範に利用できるものとなるために克服すべきいくつかの課題が残されているものの, この方法は今後の結核対策のなかで重要な手段のひとつとなるであろう。

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© 日本結核病学会
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