結核
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前視床梗塞による突然の傾眠, 自発性の低下で発症し記憶障害が残存した結核性髄膜炎・肺結核の1
鹿間 裕介栗生 和幸福井 俊哉川田 博中島 宏昭
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2004 年 79 巻 8 号 p. 469-473

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抄録

症例は55歳男性で傾眠, 自発性低下で入院した。入院時抑うつ状態, 発動性の低下が認められ, 精神疾患が疑われ精神科入院となった。胸部レントゲン上両上肺野に浸潤影が認められ喀痰検査にて結核菌が検出されたため2週間後結核指定病院へ転院した。転院後髄液検査で単核球優位の細胞増加, ADAの上昇が認められ結核性髄膜炎と診断された。抗結核薬の投与で肺病変は速やかに改善したものの傾眠, 自発性低下, 記憶障害が残り再度当院に転院となった。病初期の脳CTでは異常は認められなかったが, 3カ月後の脳MRIにて脳底部に結核結節が認められた。また両側傍正中前視床, 左優位に視床梗塞が認められ精神症状の原因と考えられた。精神症状を初発とした視床梗塞の原因として髄膜炎の関与がありその原因として肺結核が考えられた興味ある1例を経験したので報告する。

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