結核
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結核対策の現状と課題
塚原 太郎
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2006 年 81 巻 12 号 p. 737-743

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抄録

本邦において結核症対策は,いまだに今日的課題である。平成17年4月に結核予防法が改正され,健康診断の重点化などが薪たに定められた。しかしながら,現行の結核予防法には,公衆衛生上の課題,人権上の課題,法制上の課題等が指摘されている。結核予防法は今後,これらの点を踏まえつつ,感染症法に統合されてゆく方向であるが,これは生物テロや事故による感染症の蔓延を防止するための病原体等の管理体制の確立,および最新の医学的知見をもとに感染症に対して総合的な対策を実施すること,が主な目的である。平成18年3月には,その感染症法改正原案ができ,閣議決定となっている。もちろん結核予防法と感染症法が統合されることにより,より良い結核症,感染症対策が講じられることが目的であるが,まだ課題点も残されている。本稿では,結核予防法と感染症法の統合について,これまでの経過,いま何をしようとしているのか,統合により何が変わるのかということについて概説した。

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