2009 年 44 巻 4 号 p. 275-279
いわゆる‘癒合’は形態学的に‘見かけ上の癒合’と‘真の癒合’という2つの異なるタイプに区別されるが,顎・顔面の形態形成過程で起こる癒合現象の異種性はほとんど知られていない.また,‘真の癒合’として最も研究されてきた口蓋突起の癒合でさえ,上皮が消失するメカニズムに関して論争が続いている.本稿では,癒合における‘見かけ上の癒合’と‘真の癒合’の差異を解説し,マウス胎児の単一口蓋突起培養法で上皮細胞が細胞移動,上皮―間葉形質転換,アポトーシスを起こして消失する例を供覧して,‘真の癒合’において上皮はどのようにして消えるのかについて解説する.