顕微鏡
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Print ISSN : 1349-0958
解説
高分解能電子顕微鏡の進展と今後
高井 義造
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2011 年 46 巻 4 号 p. 246-252

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抄録

高分解能電子顕微鏡法は収差補正電子光学系の開発により今新しい時代を迎えている.多くの研究者の50年以上にわたるたゆまない努力のお陰で,原子コラム単位の不純物の分析等が可能になり,グラフェンのような単原子層厚さの試料に対しては,構成原子だけでなくボロンや窒素や酸素といった軽元素からなる不純物原子や格子欠陥の単一原子レベルの観察,ならびに原子サイト毎の結合状態の分析も可能になってきた.高分解能電子顕微鏡は今や様々な分野においてナノテクノロジーを推進するためになくてはならない装置となっている.この解説では,これまでの電子顕微鏡の収差補正技術と位相板技術といった装置開発の進展を振り返りながら,今後の高分解能電子顕微鏡の装置化研究ならびに応用研究の向かう方向について議論する.

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© 2011 公益社団法人 日本顕微鏡学会
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