顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
解説
伝導路解析法の歴史と展望
小林 靖
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2014 年 49 巻 3 号 p. 190-197

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抄録

伝導路の追跡は神経解剖学の中心課題のひとつである.伝導路の起始細胞,経路,終止を明らかにするために,髄鞘形成,変性による髄鞘脱落,変性髄鞘や変性軸索の染色,Golgi染色,軸索輸送を利用した標識法,ウイルスによる標識法などが開発されてきた.伝導路の正常像を観察するには,その伝導路の構成ニューロンに特定の標識分子をできるだけ高濃度に取り込ませて可視化する必要がある.そのため現在では,さまざまな標識分子の遺伝子を導入し,伝導路の構成ニューロン自身に標識分子を産生させる方法が多く用いられている.さらに進んで,導入した遺伝子によってそのニューロンの活動を制御することで,伝導路の形態学的追跡と機能解析を同時に進めるという新しい研究領域が拓かれている.

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© 2014 公益社団法人 日本顕微鏡学会
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