2020 年 55 巻 3 号 p. 104-108
クライオ電子顕微鏡による単粒子解析では,試料中に含まれる複数のタンパク質構造を分類しながら解くことが出来る.ただし分類された構造間のダイナミクスの情報は類推するしかない.この問題について2020年に発表された三次元再構成およびクラス分類を行うための深層学習アプローチであるcryoDRGNは,離散的なデータ分割による構造分類を脱却し,連続的な構造分類を実現した.そこでは,オートエンコーダーをベースとし,入力粒子画像から投影パラメーターに依存する情報を分離して潜在空間を構築している.本稿では従来の構造分類と,cryoDRGNおよびその背景となる深層学習のトピックについて解説を行ったのち,構造分類のベンチマークとして6種類の複合体を有するGroEL/ESの実データについて三次元再構成とその分類を試みた.