顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
特集:低ドーズ条件でのデータ収集の取り組み
高速静電シャッターを用いた電子線制御による新しい低損傷観察,分析手法の開発
橋口 裕樹八木 一樹神保 雄Ruth S. BloomBryan W. ReedDaniel J. MasielSang Tae Park大西 市郎
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2022 年 57 巻 2 号 p. 54-58

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抄録

球面収差補正STEMでは,収差補正の効果により,分解能だけではなく電流密度が飛躍的に向上したため,原子分解能の構造観察や元素分析が可能になった.しかし,従来であれば気にならなかった電子線ダメージがより顕著に確認される機会が増えてきた.一方,電子線ダメージに弱いサンプルへの観察や分析の需要は増加しており,このような試料の観察や分析にはドーズ量を落とすことが必要である.しかし,これは分析時のS/N比の悪化につながるため,ドーズ量を落とさずにダメージを抑える手法が求められている.我々は,百ナノ秒オーダーでビームをon/off出来る高速静電シャッターを新たに開発した.このシャッターを用いた間欠照射法により,従来と比べて有意に試料への電子線ダメージを抑制した観察,分析に成功した.本稿ではこの実験方法とハードウェアを紹介する.

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© 2022 公益社団法人 日本顕微鏡学会
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