2022 年 57 巻 2 号 p. 65-69
微細構造計測の高精度化や自動計測などの技術の発達とともに,多様な大規模データを取り扱うインフォマティクス技術の需要が益々高まっている.計測コストをさらに削減し,また,計測対象の損傷を防ぐためには,量子ビームの照射を短時間に抑えて計測されたデータを正確に解析する技術が必要となる.本解説記事では,短時間計測で得られる低カウントのスペクトラムイメージを対象とする機械学習法を述べる.スペクトルのデータ解析に有効な非負値行列分解法を最初に述べ,これをポアソン雑音モデルに拡張した手法を紹介する.また,データ前処理の一つであるポアソンスケーリングによる対処法も紹介する.人工的に生成されたデータやSEM-EDSの実データを用いて,解析手法の利点・欠点などを議論する.