科学基礎論研究
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非適応形質と自然選択説
松永 俊男
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1989 年 19 巻 3 号 p. 129-133

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抄録

ダーウィンの自然選択説は, 生物の適応形質を無目的な自然的原因によって生じたものとして説明する。これは, 生物のもつ合目的性を非目的論的な世界観の立場でとらえたものである1)。
では, 生物にとって合目的性が認められない非適応形質 (non-adaptive character) を, 自然選択説はどのように理解するのであろうか。非適応形質の存在を認めることは, 自然選択説を否定することになるのであろうか。本稿ではこの問題を考えてみたい。前半ではこの問題に関するダーウィン以来の歴史的経過の大筋をたどり, 後半では現代の進化論における論争を考察する。

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