北日本病害虫研究会年報
Online ISSN : 2185-4122
Print ISSN : 0368-623X
ISSN-L : 0368-623X
薬害による落葉に関する研究
(2) 各種の化学物質による影響
小宮 康平
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 1964 巻 15 号 p. 197-211

詳細
抄録

1. 圃場で成育させたバラ科落葉果樹7種類に25種類の薬剤を散布あるいは葉身に塗布して, 薬害落葉を誘起する実験を行なつた。
2. 薬剤による落葉は葉身部に薬斑を生じて落葉した。薬斑色の変化は薬剤の種類によつて多少の差異があるが, 葉色は退色→褐変→褐斑の経過をたどる。
3. 葉身部に薬斑を生じた場合に薬害落葉を誘起するが, 葉柄基部に薬斑が生じた場合には落葉が生じない。そして薬害落葉には葉柄基部の離層形成と脱離経過が必要である。
4. 薬害落葉は薬剤の種類と施薬量および各植物体固有の落葉に対する敏感度と葉の熟度とによつて変化した。
5. 供試薬剤は薬害による落葉率から落葉促進性薬剤, 落葉誘起性薬剤ならびに落葉を誘起しない薬剤の3種類に分けられる。
6. 薬害落葉は通常各植物固有の落葉に対する敏感度によつて影響される。しかし薬剤の種類によつて特異的に落葉が促進される場合もみられた。
7. 幼葉に薬剤処理した場合には葉身の一部分を脱離して葉を枝上に長く付着させることを観察した。
8. 薬害落葉は新梢の成育時期によつて異なり, 夏季以降の成育伸長停止期には春・夏季の成育伸長期よりも容易に落葉し, 薬害による落葉が促進される傾向が認められた。また葉の熟度が進んだ新梢基部の葉は頂部幼葉よりも早く落葉した。

著者関連情報
© 北日本病害虫研究会
前の記事
feedback
Top