大阪府立環境農林水産総合研究所研究報告
Online ISSN : 2188-6040
ブドウ新品種‘出願番号28922’の特性
細見 彰洋段 正幸加藤 彰宏磯部 武志古川 真三輪 由佳
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2016 年 3 巻 p. 1-8

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抄録

ブドウの新品種を育成し,名称を‘ポンタ’として品種登録を出願(No.28922)した.本品種は‘巨峰’(♀)と‘ブロンクスシ-ドレス’(♂)の交配による3倍体ブドウである.樹勢はやや強く,枝葉は欧米雑種の形態を有する.新梢には副房を伴う円筒形の花房が多く着性する.花は雌性(雄ずい反転性)で,大半が無核果粒となる.果房は果皮が不鮮明な紅黄色で均一に着色しにくいが,豊産で,巨峰より収穫開始が早く,適熟時の果肉は糖度が20度以上になるとともに,芳醇なフォクシー香を放って食味が優れるといった有用性をもつ.自然成熟させた果粒は完全に密着せず一粒重は4 g程度に止まるが,ジベレリンを処理すれば着粒や果粒の肥大が促進され,商品性の高い果房が得られる.着色時の光に対する反応性は,直光性と散光性の中間と判定され,果皮着色を促すには果房への一定の採光を維持する必要がある.

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