抄録
外来パーキンソン病患者に対し,達成可能な目標を提示して歩行練習を行い,連続歩行距離の延長を図った.目標は対象者の連続歩行可能な時間を評価し,この時間内での3セットの歩行の合計距離を増加させることとした.しかし,合計距離は増加しなかった.このため目標の提示に加え,改善点に着目した聴覚的および視覚的フィードバックを行う介入を開始した.その結果,合計距離は増加傾向を示し,介入12セッション以降は介入前のいずれのセッションよりも高い値であった.フィードバックを除去したフォローアップ期においても歩行距離は増加傾向を維持した.これらのことから,改善点に着目した聴覚的および視覚的フィードバックは,パーキンソン病患者の歩行練習距離を増加させるうえで有効に機能したものと考えられた.