抄録
近年、地方自治体では市民との協働の取組がすすめられ、行政広報が重要な役割を果たしている。本
研究では、行政広報による住民意識への影響の定量的な調査をもとに、協働意識を高めるための広報チャン
ネル選択の最適化について明らかにしようと試みている。この論考により、行政広報はコミュニティに関す
る意識を通じて協働意識に影響するルートと個人的な興味を通じて影響するルートの 2 つが確認され、広報
チャンネルとの関係性が明らかにされた。コミュニティ意識ルートでは SNS などのソーシャル広報の影響が
強く、個人的興味ルートでは公式広報チャンネルの感情的・認知的な興味への影響が強く見られるなどチャ
ンネルによる影響の違いが示された。また、性別による影響の違いについても定量的に明らかとなったこと
から、属性に応じた最適なチャンネル選択を図ることが有効であることが示唆された。