本研究は、保育園での長期縦断的な観察から、2つの年長児集団(C1とC3)の遊びや仲間関係が、遊びのテーマを共有し、維持、展開していく過程での相互作用を通じて、どのように作られていくのかを微視的相互作用の分析から明らかにしたものである。各集団の共同遊びを8ミリビデオに収録し、その相互作用展開の仕方と仲間関係の特徴とが個々の遊びの中で再帰的に構築される過程に焦点を当てた。C1の相互作用展開の特徴は、遊び道具を一緒に使用するため互いに遊びの進展具合を明確にするといったもので、C3においては、遊び道具をそれぞれが使用するため互いの活動を確認するのみで、遊びの詳細な発展は各々で行うというものであった。このような相互作用を通して、C1においてはある男児がリーダーシップを発揮し遊びのテーマも明瞭で、C3においては仲間関係も拡散的で遊びのテーマも不明瞭になりがち、という遊びの特徴や仲間関係の特徴が生成されていた。このように、各集団の遊びの特徴は、その集団の仲間関係とそれと共起的な関係をもつ相互作用展開を通じて生成されたものであると考えられる。