2007 年 76 巻 2 号 p. 2_165-2_169
古くからカイコの形質マーカーによる遺伝的地図は,完全連関による連関検索と3点法による座位決定によって作られてきた。我々は,この形質マーカーの地図作成で用いられている方法を改良し,EST-cDNAクローンのRFLPを同じ個体で繰り返し解析することで効率的にマッピングを行っている。今回,その地図上の遺伝的距離と染色体上の距離を比較するために,同一染色体上(RFLG9)の4,18,33cMに位置する3領域の6つのcDNAクローンに対応するゲノム断片をDIGでラベルし,混合したプローブとして5齢1日目のカイコ卵巣染色体標本に対しFISHを行った。その結果,一つの染色体上に強度の異なる3点のシグナルとして検出でき,領域1は24.9±3.1%の地点に,領域2および領域3はそれぞれ45.2±4.1%と70.8±3.8%の地点に位置することとなり,遺伝的距離と極めてよく一致していた。